9月8日、大谷主宰出席の東京句会。

主宰入選の一句。

 月にまた召されし人の一歩かな  鈴木伊豆山

前書きに「アームストロング氏」とある。
アポロ11号のパイロットで、人類ではじめて月面に降り立った、
ニール・アームストロング船長への追悼句だ。
時事性だけに流されず、ユーモアでまとめたところが、
作者らしいところ。こういう姿勢を見習いたい。

 大利根の水の力に稲の花  杉山常之

こちらも主宰入選句。「大利根の常之」という声もあがった。
俳句を詠むのに土地の力というものもあるのではないかと思った。
つまり、その土地が詠ませる俳句である。
それには、まずその土地に愛されないといけないのだろう。

席題では、主宰の「もっと彫りを深く詠んでほしい」という発言が印象に残った。

席題で句を詠むとき、つい言葉だけが上滑りしてしまうことがよくある。
彫るとは、刻みつけるということだ。
ホワイトボードの文字のように拭けば消えてしまうような言葉ではなく、
事物がありありと見えてくるような言葉を探したい。

また、焦点の移動についても話があった。
言葉選びだけでなく、その並びもまた大事ということ。

関根千方

 

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