古志
編集長日記29
3月1日・2日、長谷川前主宰出席の金沢雪中句会に参加。
関西、中部、関東の各地域から23名が集結した。「雪中句会」とは言えど、2月に大雪の降った東京よりも雪のない金沢だった。それでも金沢には詠むべきものがたっぷりある。
あざやかに九谷の皿へ花菜漬 淳
かきとりて大樋飴釉蕗の薹 美智子
金沢やまづはこごみのくるみ和 二本
君に酌む春なみなみと手取川 竜樹
第一句座の後、前主宰の講評の前に、各地の支部長他からの選評も得た。前主宰からは、その際気を付けることとして、「選評するときは、身の上の話をしてはいけない。文芸に成り立った選評をするように」との忠告があった。選句をする際は自分の趣味は関係ない。俳句のよしあしを瞬時に見極めるということが必要になる。前主宰はこうも仰った。「『今』はすべて消えてなくなる。残るのは俳句だけだ」
2日目の朝は、句会前に金沢支部長の鬼川こまちさんに「文学散歩」と題した吟行を実施して頂いた。犀川、芭蕉碑、一笑塚、茶屋街などを案内して頂き、雪はなくとも金沢を大いに満喫させて頂いた。
大いなる橋を渡りて春来る 英樹
犀川は荒春水を流しをり 雄二
草萌に一笑塚もうごくらん ゆき
茶屋街の道はくねくね春の雪 きよみ
最後に前主宰からは、「今回の句会はまれに見るすばらしい句会だった」 とのお言葉を頂戴した。「こういう句会があったことを覚えておき、今後の句会の基準にするように。志の修行となる」とのこと。肝に銘じて、「今」が消えてなくなる前に、今回のことは脳裏に焼き付け、精進せねばと思う。
辻 奈央子
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