武藤紀子　句集『百千鳥』

On 2010年9月4日 · Leave a Comment

俳句をこころざして二十数年、軽やかにして円熟を感じさせる句集です。

百千鳥
著者：武藤紀子
価格：2,600円＋税
発行所：花神社
発行日：平成22年9月4日

けふよりは老人となる百千鳥
法然の大きな寺や田螺和
古巣あり遊行の道の続きけり
筒袖の鵜匠に蜘蛛の糸流れ
道をしへ真昼の道に出てゐたる
名号はあらなつかしの法師蟬
絵解き僧桃のことなど話しをり
鳶老いて大いなる顔秋の風
フランスの国のかたちの枯葉かな
寒い貌してをる能登の海鼠かな
白息のなかに大滝落ちにけり
真ん中を由良川のゆく冬景色
西行の山の裏白刈りはじむ
夏河の大きく曲がるあたりこそ
完璧な椿生きてゐてよかった

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