12月8日、大谷主宰出席の東京句会に参加。

青空に木の葉の舞う、皇居外苑。
列島に寒波がおしよせ、各地は猛吹雪というのに、
東京は晴天、空っ風が吹きまくっていた。
 

5日に歌舞伎俳優、十八代目中村勘三郎の訃報があった。
句会でも、いくつもの追悼の句が詠まれた。

 短日や型を伝へて逝きし人     岩崎ひとみ
 千両役者去りてこの世は風花す   梅本元子
 年惜しむ八面六臂のその芸を    大場梅子

歌舞伎と俳句では、ずいぶん違うが、
伝統を継承しつつ果敢に新境地を切り開いていった、
その姿勢をおおいにみならっていきたい。
 

今回、一番好調だったのが、神谷宣行さん。

 鰤の身の羽衣となる鍋の中     神谷宣行
 楽しげに街をあらして凩よ 
 大根の泥が育てし白さかな
 いま星の生れる途中冬ごもり

句会の前「膝に痛み止めの注射をうってきました」
とおっしゃっていたが、句もさることながら、
俳句に向かう姿勢に圧倒された。
 

最後に二つ。

 着ぶくれて鐘ひと撞きによろけたり 小宮節子

「己の無様な姿を客観的にとらえている」と主宰の評。
自虐性を感じさせないのは、人間とはこういうものだ、
と思わせるところがあるからだろう。
冷静にして、あたたかなまなざし。
自分もこういうユーモアを持ちたい。

 後ろから木の葉が来たり風もくる  丹野麻衣子

「これは時間差の句」との主宰の評を聞いてから、
あらためて読んでみて面白さに気づいた。
感覚の統合が一瞬解かれるような、
不思議な感じがしてくる。
 

二年間、主会場としてきた科学技術館を去り、
来年からは青山こどもの城に会場を移す。
心機一転といきたいところ。

関根千方

 

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