句会日記9
1月4日、大谷主宰出席の新年鍛錬句会(一日目)に参加。
初詣の人でにぎわう、門前仲町にある古石場文化センターにて、15名が参加して、朝の9時から夜の9時まで、計六句座をおこなった。
一座目は持寄り句、二座目、四座目、六座目は席題句、三座目と五座目は吟行句。吟行では、肌をさすような寒風が吹き荒れるなか、深川不動、富岡八幡宮を中心に、みな句帳を手に旧江戸の下町を闊歩した。
千坪を富士の麓に買初 わたなべかよ
新年の句らしく、まことに景気がいい。主宰より「俳句はそもそもめでたい文芸」との言葉があった。新年の句はめでたく詠む。これが基本とのこと。
花の君出てきてうれし初句会 梅本元子
昨年末に膝を骨折してしまった丹野さんが、松葉杖をついて参加。その丹野さんへの挨拶句。みなもうれしくなる。
あらたまの大横綱の手形かな 軍地四郎
さらっと詠まれているが、味わい深く、またありがたい句。富岡八幡宮は江戸勧進相撲発祥の地でもある。境内には、横綱力士碑や大関力士碑、また巨人力士手形足形碑がある。
無事仕事終へて四日の灯にまみれ 丹野麻衣子
四座目に「四日」という席題が出た。この句は五句座目の句。こういう執念をみならいたい。初詣の客には、スーツ姿の人たちが大勢いたのだが、松葉杖の丹野さんは、この句を句会場の一室でつくられていた。
歌留多とる詩歌の国に遊ぶべく 西川遊歩
もてなしの心の国や嫁が君
初東風や木場も石場も舟の道
今回特に、遊歩さんの句の大きさに圧倒された。とくに三つ目の句は、旅の専門家ならではの句。古石場は、江戸時代に埋め立てられた埋立地で、もともと幕府の石置き場であったそうだ。隣の木場もそうだが、重いものは舟で運ばれていた。このあたりは、今でも水路に囲まれている。吟行句は、その土地への関心を忘れずに詠みたい。
関根千方