5月10日(土)大谷主宰出席の東京句会に参加。

この日は句会の後に2013年度古志四賞の授賞式も控えていたので、京都から中村汀さん、東京から西川遊歩さん、福岡から斉藤真知子さん、広島から矢野京子さん、愛知から青沼章二さんの受賞者、静岡から選考委員の村松二本さんが句会からご参加。東京句会もいつも以上に張り合いのある会となった。

特選句から抜粋

百年のいのちこれより今年竹 秀子

(世界遺産)一棚の繭の興せし国ならん 伊豆山

主宰からは、一句の中に説明の言葉が多用され、もったいない句になる例を挙げられ、講義があった。
芭蕉の言葉、「当時の俳諧は梨子地(なしじ)の器に高蒔絵かきたるごと、ていねいに美つくせりといへどもやうやく之に飽く。予が門人は桐の器をか(掻)き合せにぬりたらんがごとく、ざんぐりと荒びて句作すべし」をご紹介頂いた。

近頃の俳諧は、器に蒔絵を描くように、細かく手を入れたものが多い。丁寧に美は尽くされているが、いつか飽きる。私(芭蕉)の門人は、桐そのものの素材を生かしたような、自然な作りで、ざんぐりと荒びた句を作るべき・・・という内容だ。

主宰は以前にも、「ただごとを恐れてはいけない、ただごとにならないようにするには、日常からばさっと切り出すことだ」とおっしゃっていた。芭蕉と主宰の言葉を心掛けることで、日常に埋没しない、はっとさせられる句が得られるのではないか。

この直後の席題での特選句。

(俳諧は)大壺にざんぐり活けよ花うつぎ 梅子

当意即妙の句で、皆が唸った。

句会に続き、古志四賞授賞式。選考委員の大久保憲一同人会長、飛岡光枝さんもご出席。
古志俳句賞受賞者の中村汀さんの言葉。
「俳句賞は若い人が獲るものかと思っていたが、そうでない人間も獲れることが判明できた」

選考委員の村松二本さんの講評として、「受賞の理由として、中村汀さんの句は、言葉がのびのびしていて、おおらか。つめすぎず、かつゆるまず、大げさなところがない」という言葉があった。やはり芭蕉、主宰の言葉に通ずるものがある。

毎号、「飴山實俳句賞」「古志俳論賞」の作品募集のお知らせを掲載しているが、今年の締め切りは8月24日(日)。皆様のご応募を心からお待ちしております。

辻 奈央子

 

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