古志
編集長日記23
6月2日(土)、大谷主宰出席の栃木吟行句会に参加。
関東在住の会員のみならず、福島や熊本からも会員の集まる賑やかな句会となった。
那須塩原駅にて集合ののち、バスで遊行柳へ。
遊行柳は想像していたたおやかな姿とは違い、太い幹と根をもった力強い木だった。
周りは一面田んぼが広がっていた。あぜ道を一歩一歩進むたび、次々と蛙が田んぼに飛び込むのには驚いた。
続いて、句会場の大雄寺へ移動。
食事の前には、住職さんから「五観の偈」を講義していただき、その後全員で唱和した。
- 一には功の多少を計り彼(か)の来処を量る
(目の前の食事に費やされた時間はどれほどか、どこからどのように出来上がってきたのかを想像します。) - 二には己が徳行の全欠を忖(はか)って供(く)に応ず
(正しい生き方が、私にどれだけできていたかを見つめなおし、反省してこの食事をいただきます。) - 三には心(しん)を防ぎ過(とが)を離るることは貪等を宗とす
(執着することなく、自己中心的な行いから離れ、まず、際限のない「貪りの心」を捨て去ります。) - 四には正に良薬を事とするは形枯(ぎょうこ)を療ぜんが為なり
(ただ空腹を満たすといくことではなく、飢えや渇きという根源的な病を治し、身を保ち心を養う良き薬のごとく、この食事をいただきます。) - 五には成道の為の故に今此の食(じき)を受く
(いま、一人の仏として、この食事をいただきます。)
吟行句は、見たこと、したことをそのまま詠んで、ただの報告に終わってしまいがち。
見たものだけにとらわれず、読み手をはっとさせるものがなければいけない。
笈のごとリュック背負ひて若葉かな 正和
芭蕉に思いをよせた句。リュックを背にした北島さんが、旅の途上にある芭蕉と自分自身の姿を重ねている。俳句に対する北島さんの強い覚悟、それでいてどこかゆったりと構えている気持ちの余裕が感じられないだろうか。
主宰から、参加者全員の「自選の一句」について講評していただいた。「自選の一句」は、自分の出句から一番と思う句を互選の前に選んだもの。
自選と主宰の選との食い違いを学ぶだけでなく、「なぜその句を自選の一句としたか」、「この句に何が足りないか」などを考えながら聞くと、他の参加者の句への講評も実に勉強になるものだった。
栃木の会員の方々には句会に参加するのは初めてという方が多かったことを知り、今回句会をご一緒できて本当によかったと思った。
句会を通じて顔見知りになると、毎月の誌面で投句を見るのもより楽しみになるからだ。
市川きつね
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